サラリーマン大型二輪免許取得大作戦


第11話  〜おつかれさん!〜

実車教習は、長袖の服を着ないと受けさせてもらえない。それが、気温35度を超えようが超えまいが例外なく。
夏がやってきた。まだ梅雨明け宣言が出されてはいないが、じりじりと真っ赤な太陽が容赦なく照りつけ、
からだが溶けそうな気さえする。まだ午前中でこの暑さ。しかも教習の為、長袖シャツ着用・・・。
・・・・・・あつい・・・・・・あつすぎる・・・・・・とける・・・・・・。
教習所へ向かう足どりはいつもより重かった。

土曜日の午前中に2時間連続で実車予約を入れた。しかも2時間目は第2段階の見きわめである。
さすがに緊張する。実は2種類ある教習コースを今だにはっきりと覚えていない。
昨日の晩、教習コースのプリントとにらめっこしていたにもかかわらず、2種類のコースがごちゃごちゃになり、
脳みそがショートした。
ええぃ、コース間違えたくらいで落ちる訳ないし、こうなったら出たとこ勝負、なんとかなるだろう。
ふんぎりを付けて1時間目の教習はスタートした。
教官が一言、
「今日は新車の方に乗ってね。コカしたらあかんで!」
おっ!新車が入ってる。青とシルバーのツートンカラーのCB400だ。まだ200キロちょっとしか走ってない。
ちょっといいことがありそうな予感・・・。
いつもどおりの取り回しから軽くウォーミングアップ走行、まずは1コースを走る。
ほんとのところ、久しぶりの実車教習で、忘れかけていた感覚を思い出すかのように走った。
どうやら忘れてはなかったみたい。無難な走りをみせた。
続いて2コース。多少フラフラするところはあるものの、いい感じで走っていたが、最後のスラロームで事件は起こった。
ちょっとカッコを付けて走ろうと思い、アクセルを開けてしまったのが運のつき・・・・・・。
『パコーン!!コンコロコーン!』
曲がりきれずにパイロンが跳ね飛んでいった。
転倒という最悪の事態は避けられたものの、
『やってしまった・・・。』ちょっとブルーになる。でも、見きわめでなくて良かった。
見きわめのときにやってしまったら確実に落ちていただろう。次の時間、気をつけたらいいか。
気を取りなおし、再スタート。コース走行を繰り返す。
教官に呼ばれた。
「前を走るからついてきてね。」教官は、そう言い残してクルマの教習コースへ入っていった。
必死になってついていく。かなりトリッキーな走りをした。一般道路を想定した走行と言っていいだろう。
これまで受けてきた教習の総仕上げと言った感じ。バイクの教習コースに飽きていたこともあり、すごく新鮮に感じる。
クルマの発着点前にはギャラリーもいた。チョットだけカッコつけて走り抜けてたりして・・・。
実戦的な走りを体験し、ここで教習は終了。10分間の休憩をはさむ。

続いて見きわめのお時間がやってきた。ちなみに、この時間見きわめを受けるのはワタシともう一人いる。
いつもどおり、普段どおりを心がけ、1時間目と同じ新車のCBにまたがる。
教習コースの1コースと2コースを繰り返し走る。コースを間違えただけでは落ちない、とは言われたものの、
元のコースに復帰するまでは、見きわめの対象になるとのことで気を抜くことができない。
オーバーなくらい首を振って安全確認をし、坂道はアクセルを思いっきりふかせつつ発進、
S字やクランクでは足を付くこともなかった。一本橋、スラロームも規定時間をなんとかクリア。
もしかして完璧?!という走りをしつつも、心のどこかに涌き出てくるかすかな不安・・・。
50分の教習時間中、全くのノーミスはできないが、ミスるのは教官がよそ見しているときにしてくれ、と願う。
幅寄せが甘い、安全確認が抜ける、急制動で後輪がロックする、などなど・・・。
注意しなければならないことは山ほどある。さすがにパイロンを跳ね飛ばすことはなかった。
緊張の時間は、あっという間に過ぎていった。
・・・・・・復習項目がたくさん残ってたしなー。ダメかも・・・・・・。
教習終了直前、発着点でそんなことが頭に浮かんだ。

控え室で教官を待っていた。運命の時間が刻一刻と迫ってくる。
来たッ!さぁ結果はいかに!?
「はい、おつかれさんでした。」と、言いつつ、まずは他の人から教習生手帳の返却とワンポイントアドバイス。
じっと待つ。と言っても時間にして1分ぐらいなものだが、長く感じる。
そして教官が、最後に残った見きわめ組二人を見て一言、
「・・・・・・まぁ、いいでしょう!おつかれさん!」
まさに狂喜乱舞。「よかったー!!ほんとですか!?」まだ信じていない。
「でも、検定は厳しいからね。コースをよく憶えといてよ。」
ありがたいワンポイントアドバイスを頂き、教習生手帳を返してもらう。
しっかりと合格を示す『A』が書きこまれている。しばらくながめていた。苦労した甲斐があったというものだ。
よかった、よかった。

さっそく、卒業検定の申し込みに行った。
が、2週間先になるとのこと。しかも平日の昼間。このままの勢いで行きたかったのに・・・。
先着順だから仕方がない。平日の昼間か・・・・・・。
そうだ、有給休暇を使っちゃいましょう。