サラリーマン大型二輪免許取得大作戦


第5話  〜ゲーセン感覚で坂道を〜


訳あって代休をもらった。平日の昼間に教習所に行ける。空きがあることを祈りつつ、予約を取りに行くと、
・・・夜しか空いてなかった。何だか損した気分になりつつも、シュミレーターと実車の予約を入れる。
初のシュミレーター教習ということもあり、どんなものかなと興味は尽きない。

当日、夕暮れの中、教習所へ向かう。
シュミレーターの教習定員は3名。シュミレーターは1台。じゃんけんで負けた者順に乗ることとなった。
いざ、またがってみると、当たり前の話だが、実車とは感覚が全く違う。たとえるなら、ケームセンターの
バイクと同じ感覚・・・。そういえば、家のそばのゲーセンに、ハーレーのバイクゲームがあったな・・・
こんなことなら、2・3回練習でもしておけば良かった・・・。ちょっと後悔しつつ、ハンドルだけでカーブを
曲がっていく。さすがに運転しにくい。
『安全な速度での走行』がお題目ということもあり、右カーブを60キロで曲がっていくケースを体感する。
さすがにハンドルだけでは曲がりきらず、体を倒す。すると、対向車線にまで入り込んでしまい、
トラックと正面衝突。・・・・・・お約束のパターンにはまってしまった。

俗に言う、『スローイン・ファーストアウト』を理解してもらうための教習ではあるが、実車とのギャップを強く感じた。
「キキキーッ、ドーン、ガチャーン、・・・・・・転倒しました。」シュミレーターの感情のない音声がやたら耳に残っている。
左カーブを曲がる時に、なぜか壁に激突する『自爆事故』を2連チャンでやらかした自分で言うのも何だが・・・。

最後までシュミレーターの感覚をつかむこともなく、教習は終了。引き続いて、実車教習を受ける。
当たり前の話だが、シュミレーターと実車は違う。まず、爽快さが違う。風が感じられる。エンジン音、振動、
ブレーキ、クラッチ、見える風景の全てが違う。まぁ当たり前のことだが・・・。

新たな教習項目が加わった。坂道通過と、坂道発進。登りは重心を前に持っていき、下りは逆にうしろへ・・・。
もちろん、エンジンブレーキを利かせてである。
2回ほど坂道通過を繰り返したところで、教官が一言、
「じゃ、坂道発進してみましょう。」
ちょっとドキドキした。原チャリなら、アクセルを回すだけで登ってくれるが、教習車は原チャリではない。
ズルズルと後退するかも・・・。不安を抱えつつ、坂の途中で停車。
街中ではあまり見かけない道路標識が立っている。
教官:「この標識は何ですか?」
ワタシ:「警笛鳴らせ、です。」
教官:「ここで一旦停止して、クラクション2回鳴らして下さい。1回だったらクルマの方と間違えてしまうからね。」
なるほど、クラクションの回数で区別しているのか・・・変なところに感心しつつ、坂道発進のコツを教わる。
クルマで言えば、サイドブレーキにあたるものが、後ブレーキで、半クラッチ状態から少しアクセルを回し、
徐々に後ブレーキをはなす。理論は、クルマと同じだが、オートマチック車に慣れた人間には、これがひと苦労。
エンジン音だけがむなしく響き渡る。そしてエンスト・・・。あわててエンジンをかけ、またプッスン。
どうもスマートに発進できない。やっぱり、半クラッチは苦手だ。
繰り返し練習するが、快心の坂道発進はできず、ここでタイムアップ。

次回から、教習コースに坂道が加わることとなり、難関がまた一つ増えた。
なだらかな坂道なのに、壁のように高く見える。1段階突破には避けては通れない。
昔の人は良く言ったものだ。
『人生、山あり谷あり』と。