| サラリーマン大型二輪免許取得大作戦 |
第1話 〜プロローグ〜
「いつ免許とるの?」
こう聞かれつづけて半年が過ぎた。何かの縁でハーレーダビッドソン神戸に出入りするようになってからずーとである。
そう、確かに免許は持っていない。これはまぎれもない事実である。
生まれてこのかた30年、クルマの免許しか持っていない。
その免許も取るのに5ヶ月半もかかった。
2段階、3段階で落ちまくり、とどめは運転免許試験場のペーパーテストにも落ちた。
そんな人間が、自動二輪の免許取得を目指して、教習所通いをはじめるのである。
まわりの人たちは驚き、そして笑って一言、
「バイクに踏みつぶされるで。」
身長175cmに対して体重は53kg。どう見ても典型的なガリガリの体格で、もちろん体力もない。
さらに、追い打ちをかけるかのように、
「バイク起こせるの?」
そんなこと、やってみなきゃわかるか!!思い立ったが、何とか・・・とも言うし、行くといったら行くんだい。
今に見てろ、ヘリテイジ・スプリンガーで店に乗り付けてやる・・・。
一人でブツブツ言いながら、店で入学申込書を書いていて、ふと思った。
「いきなり大型は、どうなのだろうか・・・。」
ここまでは、ある種「勢い」で来てしまったが、冷静に考えてみると、バイクというものは原チャリしか乗ったことがない。
しかも、2輪でなく3輪。宅配ピザ屋の原チャリだ。
相当無謀なことをしない限りコケる事はなかった。
しかし、今度の相手は、3輪でもなく、4輪でもない、2輪車なのだ。油断をすれば、すぐコケる。
中免か大型かで思い悩んでいると、スタッフの西村氏が一言、
「カネもったいないやん。」
さすが、16才で中免、18才ですぐに大型取得のキャリアを持つ19才は言うことが違う。でも、なんでタメ口なんだ?
・・・ありがたいアドバイスをもらい、大型自動二輪コースにマルをつける。
さらに申込書を書いていると、今度はヘッドマネジャーの松本氏がやってきて一言、
「何や?おまえ、免許の種類のとこ、「1」ひとつしかあらへんやん。」
そんなデカい声で言わなくても・・・。でも、これのおかげで学科教習は1時間だけで済むのだから・・・。
なんとか申込書を書き上げたところに、友人のクマが車検に出していた1200Sを引き取りにやってきた。
これまでのいきさつを話すと、一瞬、目が輝き、一言、
「いっしょに行きますよ。」
実は、一人で行くのが心細かったから、非常にありがたい。百人力を得た気分で
近くの教習所「六甲アイランドカースクール(略称:RICS=リックス)」へ乗りこむ。
土曜日の昼下がり、空はどこまでも青く晴れ渡っている。何か心も晴ればれとしており、
新しいことをはじめるにはうってつけの日に感じた。
入学手続きの途中で、教習所のオネーサン一言、
「事前審査をしますので、しばらくお待ち下さい。」
事前審査?何じゃそら?教官のあとについていき屋外へ。クマもついてきた。なぜか目が輝いている。
そこには、ボロボロのナナハンが置いてあり、教官が一言、
「じゃ、一度バイク倒してください。」
・・・いきなり引き起こしをさせるのか!コツもポイントも知らないド素人にナナハンが引き起こせるのか・・・。
心ではそう思っても、口には出せず、非力パワーを炸裂させ、どうにかこうにか引き起こす。
すでに肩で息をしている。それを知ってか知らずか教官は、
「じゃ、押してみましょう。8の字を描くように押してみてください。」
とりあえず押す。想像以上の重さ・・・。ヨタヨタと押しているところに一台の自動車が前方を横切る。
無意識のうちに前ブレーキ、その瞬間、バイクはよろけて右へ・・・・・・。
あとはご想像にお任せします。そりゃバイクもボロボロになりますよ。
結局、3回コカしてしまい、ヘロヘロになりながら、センタースタンドを立てて終了。
教官の視線は冷たかった。一緒に見ていたクマは笑いをこらえているのか肩がふるえている。
「全く経験がないのでしたら、普通二輪から始めることをおすすめします。」
と、 教官談。「・・・はい。そうします。」
素直に教官殿の忠告を受け入れ、普通→大型とステップを踏むことにしよう。
かくして、『大型二輪免許取得大作戦』は、一時、名称を変更、『普通二輪免許取得作戦』となった。
事前審査も無事?に終わり、入学手続きも終了。
教習料全額前払いは、少々痛かったが、来週土曜日に入学ということで落ち着き、教習所をあとにした。
帰りの道中、クマが一言、
「おもろいネタ、ぎょーさんつかめましたわ。」
・・・目が輝いたのにはワケがあったのね。
まぁ、いいか。これからもっと生き恥をさらすことになるのだから・・・。
次は、入学式。1週間後の土曜日、9時30分からだ。朝起きられるかな?
・・・と、思いつつ、次の日の日曜日、全身筋肉痛のため、起き上がれず・・・。
自分自身でいうのも何だが、なんて非力なんでしょう。・・・トホホ・・・。