サラリーマン大型二輪免許取得大作戦

第21話(番外編)  〜 はじめてのツーリング! 〜

ハーレーに乗り始めて早や1ヶ月。今のところわが愛馬FXDXTも機嫌よく走ってくれる。
しかし、走行距離が一向に伸びない。納車された次の日に少し遠乗りをしただけで、後は自宅とHD神戸の往復程度で終わってしまっている。そろそろ愛馬も機嫌を損ないそうな雰囲気。どこか遠くへ行きたい・・・仕事のことは忘れて・・・。

そんなことを考えていたある日の昼休み、上司が地図を片手にやってきた。以前にも登場した仕事よりツーリングの方が大事な(?)K部長が一言、「どこに行く?」。
免許を取って以降、ツーリングに行こう、行こうと言い続けてきたK部長、ついに実力行使に出た。
ワタシ:「今は寒いですから、少しでも南の方が良いのではないですか?」
話はとんとん拍子に進んだ。神戸より南でK部長のリクエストは温泉付き。行き先としては淡路島から四国に上陸するルートが決まった。
どうせ行くなら日帰りではなくゆっくりしようという事になり、日程は2月10日〜12日の3連休に決定、あとはどこの宿が空いているかどうか.......。
しかし、どこの宿も満室状態。やはり3連休。寒い時期ではあるが行楽に出かける人も多い様子。
そうこうしているとK部長のインターネット検索が始まった。しばらくして幸運にも空いている宿を発見。しかも公営の国民宿舎。安くで泊まれる。近くには温泉もある。と、いう訳で目的地は徳島県の「日和佐」に決定。途中、淡路島の黒岩水仙郷に立ち寄る事にして、ツーリングのスケジュールは確定した。

ツーリングの出発前日、K部長が一言、「ブーツは持っているか?」、ワタシ:「いえ、持ってないですけど・・・。」この一言から騒動が始まった。普段履いている運動靴で行くつもりをしていたワタシ。K部長は強い口調でブーツの効果を説いた。万が一の事が起こった時の保護機能、防寒対策も含めて絶対に買っておくべきと力説。そして最後に、「バイクに乗る人間がブーツを履かないという事は、一流ホテルでの結婚披露宴にTシャツ、短パンで行くのと同じぐらい恥ずかしい事なんやで!」このたとえに妙に納得してしまった。名言である。
今すぐ買ってこい、という事になり、仕事もそこそこにHD神戸へ突撃、大急ぎでブーツを買い込んだ。
ちなみに、この時の支払いは生まれてはじめて『クレジットカード』なるものを使用、手元に現金がなくても買い物ができる便利さを痛感した。便利な世の中になったものだ。

そして翌日、待ちに待ったツーリングの日がやってきた。今回、あえて明石海峡大橋は使わず、明石港と淡路島の岩屋港を結ぶ、通称『たこフェリー』に乗ることにし、朝の9時にフェリー乗り場で待ち合わせたが、15分前には2人とも到着、早速乗船と相成った。
約20分の船旅。快晴とはいかないまでも太陽も顔を出している。とりあえず、船内で朝ご飯のサンドウィッチをコーヒーで流し込み、走る道を決めたところで淡路島に到着。
無事上陸を果した。ここからは右手に播磨灘を見ながら淡路島を南下、途中、県道46号線に入り、洲本市へ。ここからは左手に大阪湾を見ながら、さらに南下、第一目的地の黒岩水仙郷を目指す。が、その途中、道路際に怪しげな看板が目に付くようになった。
『パラダイス』と書かれたその看板は、異様なオーラを発している。そう、一部に人には有名な『淡路島のパラダイス』である。
噂には聞いていたが、恐いもの見たさ(?)と、場内には水仙郷もあることから、チョット立ち寄る事にした。入場料は500円也。

まず、駐車場に行くのが一苦労。急な下り坂でしっかりとした舗装もされていない。曲がりくねった細道を恐る恐る下っていく。教習所ではないが、高度なバランス感覚が要求される。コケたら終わり、そのまま転げ落ちていきそうな感じだ。非常に恐い思いをしつつも何とか駐車場に到着、目の前には水仙が咲き乱れていた。そして奥の方には怪しげな建物が・・・。
水仙郷を散策しつつ、その怪しげな建物に引き寄せられていった。あやしい。あやしすぎる・・・。
とりあえず中に入ってみると・・・、素晴らしくとんでもないところだった。さすがは『おしべとめしべの学ぶところ』。一歩間違えればワイセツ物陳列罪か?
さすがに写真を撮るのは控えた。
関西で絶大な人気を誇るテレビ番組『探偵!ナイトスクープ』で探偵の桂 小枝がロケに来たことから一躍有名になったとか・・・。K部長は展示物一つ一つを丹念に鑑賞。お土産まで買っている。
さらには来場記念にと色紙に書き置きを残していった。淡路島の隠れた名所『淡路島ナゾのパラダイス』皆さんも一度行ってみてはいかがですか?でも、ご家族連れにはあまりお勧めできません・・・。

実を言うと、『パラダイス』で遊びすぎたために、本来の目的地である黒岩水仙郷に行く時間がなくなってしまった。
とりあえず四国に渡ろうという事で大鳴門橋を走行。横風が強く恐い思いもしたが、橋の上から見る鳴門の渦潮は、まさに絶景!橋の上は駐停車禁止なのでじっくりとは見れないまでも雄大さはちらっと見ただけでも分かる。本当に素晴らしい景色だった。
鳴門市役所の前で休憩を取り、後は国道28号線から国道11号線に合流、渋滞する徳島市内をすり抜けて国道55号線へ。チョット日が傾いてきた。肌寒さを感じる。
目的地の日和佐は海岸沿いにあるが、国道55号線は海岸沿いではなく、山の中を走っている。
ワインディングロードを駆け抜け、夕方の5時過ぎ、本日の宿である「国民宿舎うみがめ荘」に到着。想像以上に立派な建物だ。目の前にはうみがめが産卵のために上陸するという砂浜が広がる。
コケることもなく、無事着くことができた。チョットほっとした気分でチェックイン、早速、風呂に入る事にした。初めてのロングツーリング、やはり緊張していたのだろう、背中が痛い。
風呂でゆっくり一日の疲れを癒す。展望風呂から見る大海原は見る者の気持ちを安息へと導いてくれる。
来てよかった・・・。
この後の夕食は一人暮らしのワタシにとっては豪華の一言。満腹感で満たされ、部屋でくつろぐ。
そのうち、心地よい睡眠へ・・・。

明けて二日目。カーテンを開けると雲ひとつ無い快晴!
今日の爽快なツーリングを約束してくれるような天気だ。朝食もそこそこに宿舎を出発、近くにある四国八十八ヶ所霊場のひとつ「薬王寺」へ向かう。このお寺は、厄除けにご利益があるとか。実はK部長、厄年だそうでぜひとも行きたいとの事、ワタシも日々の厄除けを兼ねてお参りする事にした。
薬王寺は山の中腹にある。朝も早くから大勢の参拝客でごった返している。ふと見ると、階段に一円玉が散乱している。何だろう・・・。K部長いわく、階段の一段一段に一円玉を置いていき、それらを踏んで階段を昇っていく事で厄を払う慣しがあるとの事。早速、財布にある一円玉をかき集め、それを置きつつ階段を昇っていった。お賽銭10円ではわりがあわないくらいのお願い事をして、本堂から下の景色を眺める。いい景色だ。海面が日光に反射しキラキラと輝いている。
そこには都会の喧騒は微塵も感じられない。ふるさとに帰ってきたかのような錯覚に陥る。本当に来てよかった・・・。

「薬王寺」を後にしたのは午前10時。一路神戸を目指す。来た道を引き返していくだけだが、徳島市内の渋滞は行きも帰りも変わりない。K部長はうまくすり抜けていくが、初心者マークのワタシは少々てこずる。キャリアの差だろうか。鳴門北ICについた時にはそろそろ12時近くになっていた。ここでバイクをチェンジ、K部長の愛馬'99FXDに乗って、大鳴門橋を渡る。
同じダイナ系でもぜんぜん違う。ウインドシールドがあるとないとでこんなに違うのか・・・。ツーリング仕様のFXDXT(?)これを買って正解だったかも。
淡路島で高速を下り、国道28号線を北上、行きも乗った「たこフェリー」乗り場へと向かう。
今日はあったかい。天気もいいし、走っていて本当に楽しい。目に飛び込んでくる風景も新鮮だ。ツーリングってこんなにいいものだとは思わなかった。またひとつ見聞が広がった。

解散場所にしたHD神戸には午後の3時過ぎの到着となった。ほぼ予定通りの時間だ。
店の前がごった返している。聞くと、「ホットバイクジャパン」の取材があったとか。皆さんそれぞれにハーレーのある生活を楽しんでいる。ワタシもこの二日間どっぷりとハーレーのある暮らしを楽しんだ。心地よい疲れが残っているが、まだ走り足らない気分も残っている。次はどこへ行こうか・・・そんなことを考えながらHD神戸の店頭に止めた愛車を眺めていた。
「おい、FXDXTよ、次はどこに行きたい?」